数値を駆使するマーケティングとは

アーキ・ヴォイスの
コーディネーターです。

さて、今回は年末年始のお休みで
読み終えた本をご紹介したいと思います。

■ データ・ドリブン・マーケティング

本の帯に、
「ジェフ・ベゾスが愛読、(…略…)
 アマゾン社員の教科書」
とあったため、一昨年に出たときに
買って置いていましたが、先日
ようやく読むことができました。

マーク・ジェフリー著
『データ・ドリブン・マーケティング』
ダイヤモンド社、2017年

まず、マーケティングとは何ぞや、
ということから少しお話します。

一口に「マーケティング」といっても、
幅広い意味が含まれているため、
なかなか理解しづらい言葉だと感じています。

例えばこんな活動が
「マーケティング」の
名のもとに行われます。

 A.商品やサービスの企画・開発など、
   ニーズを発掘すること

 B.ブランディングを行って、商品や
   サービスが勝手に売れるようにすること

 C.商品やサービスの市場動向を調査したり、
   分析し、価格設定に携わること

 D.商品やサービスを売れるように
   広告したり、宣伝をうったり、
   販売促進したりすること

 E.商品やサービスが販売される現場、
   店舗などをアレンジすること

 F.商品やサービスが売れ続けるように、
   お客様とつながり続ける工夫

これらをまとめて、
マーケティングといいますが、
Wikipediaなどでは
「売れる仕組み」を類似語に挙げています。

ここで、例として最近話題の
ティラミスを取り上げます。

壺に入れるなどして商品を作り(→A)、
印象に残るロゴ、キャラクターを考え(→B)、
お客にアンケートを取って様子をうかがい(→C)、
チラシをまいたり広告をだしたり(→D)、
遠くからお客の目のつくように店舗を準備し(→E)、
来てもらったお客様に再度、来てもらえるよう
スタンプカードを作ったり(→F)・・・

こうした一連のことが
マーケティング活動だ
ということができます。

ドラッカーは

「マーケティングの理想は販売を不要にすること」

と言っていますが、
店員に会う前に、すでにティラミスを
買おうと考え、さらに店の前に行列まで
できていれば、その店のマーケティングは
成功していると言えると思います。
その意味で、店員による販売は不要な
状況だといえます。

以上、前置きが長くなりましたが、
今回の『データ・ドリブン・マーケティング』は
売れる仕組みを数字で測定し、
データを駆使するマーケティングをしましょう、
と言っている本でした。

この本の大部分は下記、
測定すべき15の指標の説明や
具体例に割かれています。
その15の指標とは・・・

 1.ブランド認知率(Brand awareness)

 2.トライアルへの参加率(Test-drive)

 3.解約率(Churn)

 4.顧客満足度
 (CSAT:Customer satisfaction)

 5.オファー応諾率(Take rate)

 6.利益率(Profit)

 7.正味現在価値
 (NPV:Net present value)

 8.内部収益率
 (IRR:Internal rate of return)

 9.投資回収期間(Payback)

 10.顧客生涯価値
 (CLTV:Customer lifetime value)

 11.クリック単価
 (CPC:Cost per click)

 12.トランザクション・コンバージョン率
 (TCR:Transaction conversion rate)

 13.広告費用対効果
 (ROAS:Return on ad dollars spent)

 14.直帰率(Bounce rate)

 15.口コミ増幅係数
 (WOM:Word of mouth)

以上の指標です。
(今回の翻訳、とても素晴らしいと思います。
 少しだけ原文を見て意訳しました)

上記の1~6は、従来のマーケティングで
計測する数字ですが、この本の特色は、
従来のマーケティングに加えて、
6~10の財務的な指標と、11~15の
インターネットの指標をドッキング
させたところにあるのかなと思っています。

簡単に先のティラミスを例にとると、
まず、その店のティラミスがどの程度、
知られているかを数値化し(→1)、
試食する人の割合を調べ(→2)、
例えば返品する人がいればその割合を調べ(→3)、
友人におススメできるかも数値化(→4)。
さらに、2つ買ったら1つ無料といった
キャンペーンを打ち出し(=オファー)、
キャンペーンの申込者の割合を調べ(→5)、
その人が今後どのくらいティラミスを
食べてくれるかを予測する(→10)

以上は従来のマーケティングで
行われてきた活動だと言えますが、
さらにここから、マーケティング活動の
結果である財務的な数字も計測しましょう、
とこの本は言います。

例を続けると、ティラミスの広告を
雑誌に掲載する場合を考えます。

ティラミスの売上から広告掲載料を
差し引いた利益を記録し(→6)、
1年後に予測される利益を、
現在の金額価値で換算し(→7)、
リターンを推定します(→8)。
このリターンから、何カ月広告を掲載すると、
掲載料の元が取れるのかをはじき出します(→9)。

ちなみに、ここで用いられる計算は
事業投資や企業評価をする際によく使われる
ハードルレートといった割引率だったりします。

このように、従来のマーケティングに
財務的な計測要素を加え、さらに
よくばりなことに、インターネット販売の
状況も計測しましょう、とこの本は続けます。

今度はティラミスをホームページで
通販する場合を考えることとします。

Googleのリスティング広告を設定すると、
商品ページがクリックされたクリック単価が
Googleのシステム上(=アナリティクス)で
わかるようになります(→11)。
ホームページを閲覧した人の内、
実際にティラミスを注文した人の割合も
計測することができます(コンバージョン→12)。
クリック単価とコンバージョン率から
ホームページの費用対効果もわかります(→13)。
さらにホームページを見て5秒以内で
そのページから立ち去った人がいれば、
そのの割合もGoogleのシステム上でわかります(→14)。
最後に、ネット上の口コミから注文した人の
割合も計測します(→15)。

以上、ティラミスがどのように売れていくかを
従来のマーケティングの概念で数値化、
さらに財務分析を行い数値化、
インターネット広告の結果も数値化。
このように多角的に分析し、常に方法を
改善していくことにより、
継続的に「売れる仕組み」が構築できる、
というのがこの本の主旨になるかと思います。

以上が私の理解した
『データ・ドリブン・マーケティング』の
大まかな内容です。

今回のお話が何かのお役に立てば幸いです。

 マーク・ジェフリー
データ・ドリブン・マーケティング―――最低限知っておくべき15の指標
(Amazonのサイトにジャンプします)

PS

今回、マーケティングの本を
取り上げましたが、ここ3年くらいだと、
とても面白かったのは、
USJのマーケッター、森岡毅さんの
USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門
(角川書店、2016年)です。
とても勉強になりました。
思わず、USJに確認しに行ったほど・・・

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